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樽酒の秘めた効能

 菊正宗酒造(株)の総合研究所は、平成十二年から「樽酒の成分について」の研究に取り組み、昨年九月十一日に開かれた日本醸造学会において、業界で初めてその成分を明らかにする発表を行った。この研究の結果、樽酒の中には杉材由来の”セスキテルペンアルコール”を中心に、アロマセラピーや漢方薬などの分野で人の健康増進作用が期待されるいくつかの成分が含まれていることが明確になった。
 総合研究所では樽酒をガスクロマトグラフ質量分析計で分析し、樽酒の中に杉から溶け出したテルペン(揮発性の精油)類十五成分を見つけることに成功した。このテルペンの中にはカジノール、カジネン(鎮静と血圧降下作用)、エレモール(強壮、殺菌作用)、セドロール(神経、精神強壮作用)、B・オイデモール(潰瘍の予防と軽減)などの薬理効果があると認めらている成分が含まれていることから、樽酒の飲用によって、人の身体や心を心地よくさせる効用への期待が高まっている。また日本酒には高血圧や健忘症を予防するペプチド、脳血栓を改善するGABAが含まれているが確認されており、その効果を加えると健康飲料としての日本酒や、樽酒の注目度は高いものとなっている。
 日本アロマセラピー名誉理事の今西二郎氏(京都府立医科大学教授)は、この研究成果について「植物が生産する揮発性成分はリラクゼーション効果を与え、疲労を回復させる。樽酒の中に医学的な根拠にもとずいたアロマセラピー効果のある成分が含まれていることがわかったことで、樽酒の香りを楽しみながらたしなむことは、森林浴の恩恵に浴するのと同じ効果をもたらすとしている。

※ 『醸造報知』2002年3月27日より引用


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